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K8 Post (beta)

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  • 2017/09/03 (日)   18:02
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人の思いを描くのに必要なこと ― 片渕須直監督の劇場版アニメ『この世界の片隅に』で行われた制作支援メンバーズミーティング

テレビアニメ『BLACK LAGOON(ブラック・ラグーン)』シリーズや劇場版アニメ『マイマイ新子と千年の魔法』の監督である片渕須直さんが手がける最新作『この世界の片隅に』。この作品を企画・制作するにあたって行われたクラウドファンディングへの参加者に対して、2015年7月に制作支援メンバーズミーティング(以下「支援Mtg」)が開催されました。私も参加してきましたので、感想を書いてみます。

ではまず、(長すぎる)前フリを・・・


映画市場における「アニメ映画」の存在は、もはや1つのジャンルとして位置づけられています。直近10年ほどでは、スタジオジブリやディズニーといった有名スタジオの作品や毎年新作が公開されるような一部の定番作品、そして深夜アニメ系の映画作品が他ジャンルと比較しても堅調といえる興行成績を収めている状況です。
ですが、この良い流れの中、広く一般に向けたアニメ映画のみ大苦戦が続いています。

【直近10年におけるアニメ映画の興行収入ランキング】
直近10年におけるアニメ映画の興行収入ランキング
※ 一部推計 出典:日本映画製作者連盟及び興行通信社の資料を基にK_shellが作成

アニメ映画の収入は、①劇場公開時の興行収入、②劇場公開後のDVD・BD(ブルーレイディスク)販売収入 にざっくりと分けられます。
まず①ですが、近年ヒットした作品名を見れば分かる通り、そこに名を連ねるのは、アニメにそれほど興味がない人でも必ず耳にしたことがある制作スタジオや有名シリーズの作品がほとんどです。このことから、アニメ映画を映画館で鑑賞しようとする顧客の大半は、制作スタジオやシリーズ名などの「知名度」を重要な判断基準として、映画館に足を運ぶか否かを決定することが多いといえます。
また、②のDVD・BD(ブルーレイディスク)を購入するのは、いわゆる「ヘビーユーザー」層であり、購入対象はもっぱら深夜アニメ系の作品となります。
つまり、一般観客層向けに作られるアニメ映画作品は、最も広くターゲティングされているにも関わらず、「知名度がない」+「ヘビーユーザーにウケる絵柄ではない」という理由から、収入に結びつかないわけです。

もちろん、収入的に成功したアニメ映画の魅力が「知名度」や「ウケる絵柄」だけでないことは間違いありません。劇場公開時に話題になったり、DVD・BDの販売が好調であったりして、しかもそれらが次の作品作りに繋がっているということは、個々の作品内容としても、「質」的な魅力をちゃんと持っているということでしょう。

では、それらと比較してヒットしない一般観客層向け映画の内容はどうかといえば、決して劣っているということはありません。単純に「面白い」「見てよかった」「泣けた」というものから、強い作家性やメッセージ性があって精緻な考察や批評に耐えられる強度をもったものまで、その種類は様々ですが、良質な作品が多いのです。そういった作品が結果として、ほとんどの観客の目に触れることすらなく、ひっそりと市場から退場していく現在の状況は、本当に残念でなりません。


アニメは人の心と財布をも動かせるのか?
アニメは人の心と財布をも動かせるのか?

非常に厳しい環境の中での制作を余儀なくされている一般観客層向けのアニメ映画。この問題はかなり構造的に根深いものを孕んでいて、これさえできれば全部解決するといった簡単な処方箋はありません。法律の整備や業界体質の変化、そしてそれを後押しする世間や行政に対する地道な働きかけとアピールが必要であり、一朝一夕に解決とはいかないのです。

そんな中、現状をよしとせず、自分たちでできることをやって問題解決の糸口を掴もうとする、非常に勇気ある行動が起こされました。それが片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代さん)のアニメ映画化に関するクラウドファンディングです。

関連記事 :アニメは人の心と財布をも動かせるのか? 片渕須直監督の劇場版アニメ『この世界の片隅に』で行われるクラウドファンディングへの挑戦
※ 片渕監督が起こした行動の意味とは何なのか、アニメ業界が抱える問題とは何なのか、クラウドファンディングという聞き慣れない言葉の意味などを拙いながら解説しましたので、よろしければこちらもご覧ください。


片渕須直監督の劇場版アニメ『この世界の片隅に』で行われるクラウドファンディング

クラウドファンディングとは、銀行や機関投資家といった金融専門家ではない「クラウド=大衆」から「ファンディング=資金調達」する仕組みのことです。資金提供者に対して、配当などのいわゆる金銭の分配ではなく、実際の制作物やグッズなどのリワードが与えられるといったことも特徴とされます。
今回、劇場版アニメ『この世界の片隅に』で行われた支援Mtgもそのリワードの1つで、いわばこの作品に出資した人たちが集う株主総会のようなものです。

この支援Mtgは地域や開催時刻が限定されていたこともあって、泣く泣く参加できなかった方もいると思います。参加したんだけど、パイロットフィルムを観て泣きすぎて、話の内容をうっかり忘れてしまった人もいるかもしれません。また、『この世界の片隅に』のアニメ映画化の話を最近知り、本当は参加したかったのに・・・という方もきっといらっしゃるはずです。
そんな方々への情報共有や記憶喚起の一助にこのエントリーがなっていれば幸いです。

なお、講演中の録音や撮影はNGとのことでしたので、内容は私のメモベースのものとなります。一部正確性に欠ける記述があると思いますが、ご容赦を。

 

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  • 2015/06/06 (土)   02:34
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【テイルズオブゼスティリア炎上】 帽子が脱げない衣装DLCにユーザーが怒る理由 (コメントへの返信エントリー)
出典:BANDAI NAMCO Entertainment『Tales of Zestiria』

このページは『【テイルズオブゼスティリア炎上】 ヒロインキャラの離脱は何が問題だったのか?』のエントリーに寄せられたコメントへの返信+αとして記載されています。事前に下記の関連記事をご覧いただけると、より理解が深まると思います。
関連記事 :【テイルズオブゼスティリア炎上】 ヒロインキャラの離脱は何が問題だったのか?
【テイルズオブゼスティリア炎上】 ヒロインキャラの離脱は何が問題だったのか?

DLCの点ですが、ザビーダのゼロス衣装に関してはどんな風に考えてますか?
購入する際のstoreの画像では、帽子を被っていないザビーダと、サンプル画像は全て「ザビーダが仲間になっていない場面」です
しかし購入していざ使おうと思ったら、髪型を変更してもサンプル画像のように帽子は外れることはありませんでした
これはサンプル画像が「実際のゲーム画面」であり、実際プレイすればそのサンプルと同じ場面を見られる(ただし2周する必要がある)ため、問題ないのでしょうか
実際にザビーダを仲間として操作している時は帽子が外せないため騙されたような気分です

上記エントリーのコメント(No.9)より引用


商品を購入する際の適切な情報開示という点では、サンプル画像にわざわざプレイアブル環境下ではないときのものを並べるというのは、ゲーム会社側が何を言い訳しようが明らかに悪意ある行為といえます。ユーザーが誤認してしまう要素を結果的に増やしているわけですからね。

このザビーダのゼロス衣装DLCについて、問題点をざっくりと整理すると以下の2点となります。
商品(ゲーム内の挙動)としての欠陥があるか?
商法(売り方)に欠陥があるか?

 

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  • 2015/05/01 (金)   15:13
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4月の人気ランキング【2015/4/1 〜 4/30】

2015年4月の間、最もアクセスされた人気記事のランキングです。

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  • 2015/04/23 (木)   08:38
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今の日本人にApple Watchはいらない
出典:Apple『Apple Watch』 HP

アップルから新商品『Apple Watch(アップル・ウォッチ)』がいよいよ発売されます。
携帯電話のように「持つ」のではなく、「常時身につける」こととなるスマートデバイス=ウェアラブルデバイスですが、これまで他社から発売された主な商品(腕時計型ではSamsung『Gear』・Sony『SmartWatch』、メガネ型ではGoogle『Google Glass』など)はことごとくユーザーの期待にかなうものではなかったことから、このジャンルにおける大本命とされてきた『Apple Watch』に注がれる期待は大きく、発売前から話題となっています。

しかし、発売前の評価としてはあまり芳しくなく、主にデザインが叩かれています。

参考:
Apple Watchにファッション業界冷ややか 「手首に着けたいだろうか」 │ The Huffington Post
正直すぎる…Apple Watchに対する海外ネットの反応 │ GIZMODO

このエントリーでは批判を集めているデザイン問題をちょっと横に置き、アップルがこの商品に込めようとしたものは一体なんなのか、そして、それが日本人(正確には日本在住の人)のユーザーにどのように影響するのかを考えてみたいと思います。
 

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  • 2015/04/21 (火)   01:53
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夕凪の街 桜の国 こうの史代(作) : 生き残ることは罪なのか。

『夕凪の街 桜の国』は、こうの史代さんによって描かれた漫画作品で、2004年の発表から各メディアやネット上で圧倒的な支持を集め、数々の賞を受賞するなど、こうのさんの代表作となっています。

本作は『夕凪の街』とその後日譚にあたる『桜の国(一)・(二)』という3部作となっていて、3世代にわたる家族の物語です。

『夕凪の街』
 舞台広島
 時期1955年(原爆投下から10年後)
 主人公平野皆実(ひらのみなみ)
平野皆実(ひらのみなみ)
 
『桜の国(一)』
 舞台東京
 時期1987年
 主人公石川七波(いしかわななみ)、皆実の姪で小学5年生
石川七波(いしかわななみ)
 
『桜の国(二)』
 舞台東京、広島
 時期2004年、(一)から17年が経過
 主人公石川七波、28歳で会社員として働いている
石川七波(いしかわななみ)

舞台から想像できる通り、本作のテーマは「原爆」であり、いわゆる「戦争もの」の漫画です。
しかし、その内容は「戦争もの」のそれとは少し違っています。
 

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